【目的】
従来の肺機能基準に基づくF(++)の判定基準の問題点を明らかにし、平成22年7月から採用された日本人のスパイログラム基準値に基づく新たな判定基準の妥当性について検討する。
【対象】
男性じん肺患者(管理3~管理4) (700名)
【参加施設】
北海道中央、旭、神戸、岡山、富山労災病院
【研究期間】
平成22年4月から1年間
【方法】
じん肺患者における肺機能検査、呼吸困難度、日常生活活動度を同時に測定し、それらの検査結果を従来の認定基準や新たに改定された基準と比較検討することにより、新たに採用された労災認定基準の妥当性を検証する。
調査項目
① 身体項目:身長、体重、年齢
② 職歴、喫煙歴
③ 胸部X線写真分類
④ 臨床症状、喘鳴の有無
⑤ 肺機能検査
⑥ 呼吸困難度(じん肺ハンドブックによる分類とMRC法による)
⑦ 日常生活活動度(SGRQ)
⑧ 動脈血ガス分析
【中間集計結果】
これまでの北海道中央労災病院の症例に対する検討では、特に%FEV1において従来の検査値との相違が大きいことが示された。また、著しい肺機能障害の基準である%FEV1 <50%においてSGRQが大きく増加していることから、この新しい判定基準の妥当性を示すものと考えられた。
【目的】
じん肺管理4の患者のうちF(++)群と4C群との間の臨床上の差異について調査し、現行の労災認定基準の妥当性について検討する。さらにじん肺管理4患者の一部について栄養指標や炎症性マーカーの測定も行い、じん肺が進行した時期の患者の病態についても検討する。
【対象】
管理4患者の平成21年以降の臨床データを調査(目標400例)
今後4年間のデータも合わせて分析する
【参加施設】
北海道中央、旭、神戸、岡山、富山労災病院
【研究期間】
平成21年10月から24年9月まで
【方法】
じん肺管理4の患者を対象に以下の項目について調査する。
調査項目
①年齢、職歴、喫煙歴
② 管理4認定時期
③ 胸部X線分類
④ 呼吸機能検査
⑤ 動脈血ガス分析
⑥ 臨床症状、体重、HOTの有無
⑦ 臨床像:急性憎悪の頻度、肺炎、気胸、入院回数
⑧ 呼吸困難度
⑨ 日常生活動作
⑩ 栄養指標 (アルブミン、プレアルブミン)
⑪ 炎症性マーカー等(TNF-α、高感度CRP、IL-6など)
⑫ 安静時のエネルギー代謝
【中間集計結果】
北海道中央労災病院のじん肺管理4患者59例について高感度CRP測定を行い呼吸機能検査、SGRQとの関連性を検討したところ、15例でCRPが0.20を超えて上昇していた。また高感度CRPが0.20以上の群では、運動耐容能が低くSGRQも有意に高値を示しており、高感度CRPがじん肺症においてはじめて病態に関与している可能性を示唆していると考えられた。今後他の炎症性マーカーも加えて幅広く検討する予定である。