「メタボローム」とは細胞内代謝によって作られた低分子化学物質の総体を指す呼称で、核酸(DNA)やたんぱく質のほか、糖・有機酸・アミノ酸など数千種に及びます。このメタボロームを解析することで、疾患発症を予測できる可能性があります。
本研究ではこの「メタボローム」の解析を通じて、勤労世代が多く罹患する疾患について診断方法を確立することを目的としています。
①過重労働・ストレス下における心疾患イベントを予測する因子(関東労災病院 第二循環器内科部長 柴田 正行)
労働者の過労死予防のため、メタボローム解析により、過労死の要因となっている「心臓疾患」発症に至る予測因子、関係因子となりうる定量的マーカーの推測、同定を行います。
②早期慢性膵炎の疾患概念の研究と新規診断法の開発(横浜労災病院 消化器内科副部長 関野 雄典)
勤労男性に発生率の高い早期慢性膵炎は、職場ストレスと大量飲酒の関連が原因と推測されていますが、未だ明らかでありません。このため、メタボローム解析を通じて、早期慢性膵炎の疾患概念を明らかして早期診断法の開発を行うとともに、早期慢性膵炎と職場ストレス等との関連を検討します。