労働が女性機能に及ぼす影響について、わが国での大規模な研究はほとんどない。これまでには、夜間交替勤務者が受ける精神的影響を200〜300名程度を対象として報告されているだけであり、1,000名以上を対象とした報告は実施されていない。また、ストレス度との関係を検討した報告も認められない。さらに、夜間労働時のホルモン環境の変化を検討した報告は、国内においても海外においても認められない。
この研究成果としては、夜間労働により血液中のメラトニン濃度は減少し、コルチゾールとDHEAS濃度は上昇すると予想される。つまり、労働の質(Quality
of Working Life)が内分泌環境の変化あるいは日内リズムからの逸脱を指標として判定可能になると期待できる。また、これらの変化は、血液のみならず、唾液でも観察可能であり、より採取の容易な唾液が検体として有用であることを証明し、合理的な交替制勤務のモデルシステムを精神的・内分泌学的見地から立案し、普及を図ることを目的とする。
|