日本では年々働く女性が増加しており、また、出産の前後に就業を継続する割合も年々増加していますが、まだ低い現状です。働きながらの妊娠や出産、産後のスムーズな社会復帰を支援するためには、妊娠前後のケア(妊産婦、子どもの健康)をより充実させることが重要です
一方、近年の日本の出産に関する統計データでは、出生時の低体重児の割合が増加しており、ここ10年間はその割合が9.5%で高止まりしている現状です。原因としては、高齢出産者の増加に加えて、多くの若年女性が瘦せていることが考えられ、妊婦が十分な栄養を摂取できていない可能性があります。
この研究では、周産期における生活習慣、特に食習慣について、食のタイミングを考える時間栄養学的に調査することで、妊婦の健康や体重管理、さらには出生児の体重との関連について検討します。
また、食のタイミングという視点に加えて、連続血糖モニタリングにより血糖変化と1日の食事内容に関する検討を行い、さらに、妊娠時のプレバイオティクス・プロバイオティクスの観点から腸内細菌との関連についても解析します。
そのほかにも、並行して、妊娠期の鉄分不足の問題について、効率的な鉄分の摂取タイミング、その吸収効率や日内リズム、長期間の鉄剤投与による影響などについて、動物実験(マウス)により検討します。
産後も仕事を継続したい女性にとっても妊娠・出産は大事なイベントです。本研究では、働きながらの妊娠・分娩、さらに産後のスムーズな社会復帰のために、妊婦や胎児の健康への取り組みの改善策を探求することを目的としています。