アスベスト(石綿)関連疾患の労災請求件数は年間1,000件を超える水準で推移していますが、申請から労災認定までに時間がかかるものも少なくありません。
本研究では、労災保険給付の迅速・適正化を図るため、以下の研究に取り組みます。
①良性石綿胸水診断基準策定のための臨床研究
アスベスト関連疾患の一つである「良性石綿胸水」は、明確な労災認定基準がないため、認定までに時間を要しています。本研究では、過去に「良性石綿胸水」と診断された症例を集め、胸水の検査結果等を検討し、診断基準を策定することを目的としています。
②石綿肺がん患者における肺内石綿小体・繊維に関する研究
アスベストによる肺がんの労災認定基準の一つに、肺内の石綿小体、石綿繊維の数がありますが、特に石綿繊維の計測方法は容易ではありません。本研究では、肺内の石綿小体数、石綿繊維数、繊維の種類、職業歴等の関係性を検討することにより職種ごとのアスベストのばく露量を推定し、迅速かつ適正な労災認定に貢献することを目的としています。