勤労者の過労やストレスが、高血圧などの生活習慣病の悪化に影響すると言われています。そこで、働く人の健康を支援するため、以下の4つのサブテーマについて研究を行います。
①地域社会における社会的ストレス及び社会関係資本と生活習慣病との関連に関する研究(神戸労災病院 副院長 循環器内科部長 井上 信孝)
労災病院ネットワークを活用し、生活習慣病と社会的ストレス、精神的ストレスの関連性を明らかにすることにより、地域の実情に沿った医療(Area-based Medicine)の確立を目指す研究です。
②孤独死の要因となる動脈硬化疾患の発症・再発に関する研究(熊本労災病院 循環器内科部長 松村 敏幸)
29年度までに行った研究において、大都市(神戸)と地方都市(八代市)の職業性ストレス関連冠動脈疾患のうち独居の割合が大都市で有意に高いことがわかったことから、対象者を未婚者、単身者にも広げて検討します。
③教員の過労死を予防するモデルの構築に関する調査研究(東北労災病院 生活習慣病研究センター長 宗像 正徳)
教員は労働時間が増加し、過労死リスクが相対的に高まっていることから、脳・心臓疾患の発症を予測するバイオマーカー「尿アルブミン」を指標として、脳・心臓疾患の発症を未然に防ぐモデルの構築を目指します。
④抑うつ傾向と脳・心臓疾患発症リスクとの関係(東北労災病院 生活習慣病研究センター長 宗像 正徳)
脳・心臓疾患の予防のためには精神的ストレスを適切に評価し、早期介入を行うことが重要であるため、脳・心臓疾患発症を予測するバイオマーカーと抑うつ傾向が関連するかを勤労者と非勤労者とで比較、検討します。