職業性接触皮膚炎の診断・治療・対策
職業性接触皮膚炎と診断するための要点を、表にお示しします。
職業性接触皮膚炎の治療としては、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)の外用を主体とした対症療法、保湿剤外用などのスキンケアがおこなわれます。
しかし最も大切なことは、原因アレルゲンを見出して、それを回避する対策をおこなうことにあります。労働者が受診した場合に、皮膚科医師は職場環境についての詳細な問診をおこない、皮疹の部位や臨床症状を把握して原因物質を推定し、疑われるアレルゲンをパッチテストによって確定することをおこなっています。これをおこなわずに、皮膚炎に対する対症療法のみおこなっても症状は改善しません。
原因物質を回避するための方法としては、手袋などの防具の使用や、原因物質を含まない代替品の使用などが挙げられます。代替品を使用する場合には、パッチテストで安全性を確認のうえ、使用することが望ましいです。
原因物質の確認と回避の対策を十分におこなっても皮膚炎が軽快しない場合には、職場の配置転換や休職を余儀なくされることもあります。
表 職業性接触皮膚炎の診断
- 皮疹のタイプ、分布の把握
- 従事している作業内容に関する詳細な問診
- 同じ職場で働く他の人によく似た症状が存在するか
- 原因物質と接触してから発症するまでの時間的関連性
- 原因物質との接触がなくなるとともに改善ないし消退したか
- パッチテスト ⇒ アレルギー性接触皮膚炎の原因物質の確認
|