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振動障害
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研究の概要及び目的

本研究では以下のテーマに関して検討した。

テーマ1.
頸部脊髄症、頸椎性神経根症、絞性神経障害、糖尿病がFSBP%に及ぼす影響

振動障害患者のレイノー現象の診断として、手指冷却後の手指血圧測定(FSBP%)が有効であるが、振動ばく露労働者によく見られる併発症である、頚部脊髄症、変形性脊椎症性神経根症、絞扼性神経障害としての肘部管症候群、手根管症候群、糖尿病といった神経障害がFSBP%値に及ぼす影響について検討した。

テーマ2.
振動障害の診断におけるマルチチャンネル・プレスチグラフィーを用いた冷却負荷指血圧検査の妥当性

4指を同時に測定する“マルチチャンネル・プレスチモグラフィー”を用いた冷却負荷指血圧検査の我が国ではこの方法による診断の妥当性についての報告はない。このため、マルチチャンネル・プレスチモグラフィーを用いた冷却負荷指血圧検査による診断の妥当性について検討を行った。

テーマ3.
振動障害の診断のための振動覚閾値検査法の検討

我が国では、force choice methodであるRion社(東京)製の振動覚計02型による振動覚閾値検査が広く行われているが、ISO規格では、von Bekesy法が推奨されている。その規格に合致したHVLab社(Southampton UK)製の測定装置も使用されはじめた。今後、ISO規格に基づく振動覚閾値検査への移行が望まれているが、我が国でHVLab社製による診断の妥当性に関する研究はほとんどないのが現状である。
そこで、両測定法で正常対照者及び振動障害患者の振動覚閾値を測定し比較検討を行った。

テーマ4.
振動障害、頸部脊髄症、頸椎性神経根症、絞扼性神経障害、糖尿病における振動覚閾値検査及び電流知覚検査

振動障害の末梢神経障害の評価に関する検査法の有用性に関する検討を行う目的で、force choice methodで測定された振動覚閾値と、von Bekesy法による振動覚閾値、電流知覚閾値(Current Perception Threshold CPT)検査との比較を行うとともに、末梢神経障害をきたす頸部脊髄症、頸椎性神経根症、絞扼性神経障害、糖尿病等と振動障害の鑑別診断における検討も行った。

テーマ5.
振動障害と糖尿病における振動覚閾値、電流知覚閾値

糖尿病は日本人食生活の欧米化を背景に急増しているが、末梢神経障害、血管障害という点で振動障害と類似した病態を呈することから、振動障害の診断の際、鑑別が必要となる。
このため、末梢神経障害の評価に関する検査法として振動覚閾値、電流知覚閾値(Current Perception Threshold CPT)検査を行い、対照群、糖尿病群、振動障害群のデータを用いて、振動障害と糖尿病の鑑別診断における考察を行った。