研究の概要及び目的
糖尿病患者数および糖尿病が強く疑われる人は年々増加傾向であり、今後も増加が予想される。
我々は、2004年~2009年に行われた第1期研究において、糖尿病網膜症患者(532例920眼)において、網膜症の状態により経過観察群、光凝固群、硝子体手術群に分け、各治療群における就業状況、職場ストレス、視力の推移、視機能関連QOL(quality of life)を数値化し、データの集積を行ってきた。
その結果、仕事を続行しながらでは容易に病院を受診できない現状や、仮に視力が回復しても職場復帰が困難となる可能性が明らかとなり、いかに「失職しないように治療するか」が今後の網膜症治療の重要な課題であることが明らかとなった。
そこで、過去に登録された糖尿病網膜症症例における治療別(経過観察、光凝固、硝子体手術)の視力予後について調査した。
さらに、硝子体手術の低侵襲化に伴い、従来の20ゲージシステムから25ゲージ小切開硝子体手術システム(microincision vitrectomy system : MIVS)に移行している現状を踏まえ、硝子体手術の低侵襲化が実際に患者負担の軽減に寄与しているかを、入院日数の変化を効果測定指標に設定して評価した。